「……ふああ」
 
欠伸をすると、十郎さんが謝った。

「すみません、こんな時間で」

「いえ、そんな……。

私の方が悪いんです。

すみません、今日少ししか寝てなくって……」

「眠いですか?」

「はい、凄く」

「……やっぱり、不安ですか?」

「ええ、それもあるんですけど……」
 
答え切らないうちに、電車が来た。

さすがに、席はそれなりに空いている。
 
私達は、端っこの席に並んで座った。

「次の乗り換えまで、あと一時間以上ありますから……

寝ていても大丈夫ですよ」