決して、楽な事ではなかった。

一日一つでも大変なのに、二つ掛け持ちして、

移動中に食事を済ませる曜日だってあった。
 
それでも頑張ったのは、母がそれを望んだからだった。

当時はまだ、母が『普通ではない』事を知らずに、

ただ無邪気に褒められれば喜んでいたし、

母の言葉に秘められた矛盾や毒に、気付かなかったから。


(私は……母さんと同じにはなりたくない!)
 

将来なりたいものは、私にだってある。

それが母の希望に添おうが何だろうが、私にはもう関係無い。


私はもう、小さな子供じゃないんだから。