「それ、俺には内緒って事?」
「庇ってくれたのに、本当にごめんなさい。
いつか、ちゃんと全部話しますから……でも、今だけは……」
「分かった。詮索してごめんね。
じゃ、ドアの外で待ってるから」
「はい、すいません……」
ヨシさんが、私達に背を向けて三秒。
私は膝から床に崩れ落ちて。
ドアが閉まって十秒。
私は、泣き出した。
「……何度も面倒をかけて、すいません……。
まさか、こんな事までするなんて、思ってなかったんですっ……」
十郎さんは、私の背に腕を回して、そっと触れた。
小さな子を宥めるのに、保母さんがそうするように。



