“俺様”大家の王国




「ありがとうございました……本当に。

まさか、こんな事になってるなんて……」
 
つくづく、母は恐ろしいと思う。
 
あんな自己中、他にいないよ……。

(だけど、探偵がここまで嗅ぎ付けたとなったらもう、

時間の問題だ……)
 
私はがっくりと、頭を垂れた。

もう、駄目かもしれない。

「……何があったのか、教えて貰えますか?」

十郎さんが、優しく私を促した。

不意に、何もかも喋ってしまいそうになる。

だけど……。


「あの……すいません、ヨシさん。

席を、外して頂けますか? 

ほんの、ちょっとの間でいいんです」