“俺様”大家の王国

 


つまり、探偵を雇った……その考えに到達するのは、

さして難しい事ではなかった。

何しろ、探偵を雇う余裕なんて、いくらでもある大女優だ。
 
そして母は、本気なのだ。
 
何が何でも、私を連れ戻す気でいるのだ。

 
そんなの嫌だ! 


……やっと、ここまで来たのに……。


「ええと、一応ね。

穏やかじゃないと思って、知らないって言っといたよ。

それで、パレスの全住民にも、そうするようにって、通達したし……」
 
ヨシさんが、慰めるような口調になった。

「……それが、今日のメールの真実か」
 
十郎さんが、ぽそりと呟いた。