“俺様”大家の王国




部屋を片付けようとジューローさんと一緒に、

ヨシさんが私の後ろを通った時、

「ああ、訊こうと思ってた事、忘れてた」
 
ヨシさんが、私の肩に手を乗せた。……重たい。

「何ですか?」
 
振り返ると、ヨシさんはさっきと同じ少年のような笑顔で尋ねた。

「君、何で探偵に追われてるの?」
 

その瞬間……――私は、空のお椀を落とした。


カコーンッ! という小気味良い音を立てて、足元に転がる。

手に、力が入らなかった。

「……今、何て言いました……?」
 
私は、絞り出すような声で言った。

……声まで、震えている。