“俺様”大家の王国




至近距離だと、特にそう感じた。

存在感の塊というか、

それなりに寒い季節だというのに半袖Tシャツなところとか、

とにかく『いかにもガテン系兄ちゃん』って感じだった。

シャツに、むきむきな筋肉のラインが出ている。

「する事無いから家賃持ってきたよ、ジューロー。

そっちの彼女、新顔だろ? 

奈央ちゃん、って言ったっけ?」

彼は愛想良く、歯を見せて笑った。

(何で私の名前知ってんだよ、表札出してないのに……)
 
という疑問を飲み込んだまま、私は曖昧に笑った。

「は、はじめまして……」