この後、全部屋を回る気なのかもしれない。
(こうしちゃいらんねえ……!)
芳樹は携帯電話を開くと、大急ぎで連絡網を回した。
十数分後、在宅だった住人に、
それぞれ同じ質問をして回った探偵は、
どうにも変だと眉をひそめた。
住人全員が、知らぬ存ぜぬの一点張り。
……しかも、大家に至っては居留守をしていると見え、
何度インターホンを押しても出て来ない。
その上、休暇中のマッチョおかまには、
どさくさで抱き締められそうになった。
……今になって、ぞっと身震いがする。
(何か、変だ……)
まるで、全員がグルになっているような……。



