(だとしたら、可哀そうに……
こんな、男だらけのアパートに来ちゃって。
……ん、でも待てよ。
それなら逆に、相手は怯むんじゃないのか……?
でも、男は皆敵、って認識だったとしたら……
ミエロはその子に包丁突き付けられたっていうしなあ……)
うーむ、と何度か寝返りを打った頃に、
誰かの足音が聞こえてきた。
階段を上って、革靴らしき音がギュッギュッ、と……誰だろう。
足取りから何となく、男だと想像した。
しかし、妙だ。
宅配業者なら分からないでもないが、
通路を行ったり来たり、まるで何かを探すようではありながら、
インターホンを押す気配は無い。



