「何かあったの?」

「まあ、色々あるって事だよ」

「うー、気になる!」

「なーいしょ」

私は人差し指を立てて、唇に当てた。

しかしちょっと、虚しい。

引っ越しの事は秘密だけど、辛い事を誰にも言えないのが、それなりにきつい。


(……でも、ここまできたら、もう引き返せない)


選んだのは、自分だ。

今更、無かった事には出来ない。



どこまでだって、立ち向かってやる。



私は顔を上げて、教科書を開いた。