しかし、血の繋がった人間同士で、一度ぶつかり合ってしまうと、

それは何とも役に立たないものだった。

外の世界で他人を動かす威厳や素振りは、

全てただの我儘になり下がっていた。

今ここにいるのは、苛立って喚くばかりの惨めな女だ。
 
そして、誰も喋らなくなって、今に至る。
 
そのうちにすっかり日は傾き、気付いたら真っ暗になっていた。
 
味方であったはずの両親は、完璧に口を閉ざしてしまっている。


奈央に、固く口止めをされているのだろう。