私はますます、ミエロが嫌いになった。

そして、彼の音楽に対する情熱も、一気に冷めた。

ていうかそっちの方が、ダメージが大きい。

「僕がいない間、何か変わった事はありましたか?」
 
十郎さんは、上着を脱ぎながら訊いた。

窮屈なものから、やっと解放されたようだ。

「ミエロさんが来た事くらいです。

あ、あと……拓海さんが、わざわざ会いに来てくれました。

ケーキ持って、謝りに……」