“俺様”大家の王国

 


さっきまで、私は茄子を切っていた。

そして、そのままレンズを覗き込み……

早い話が、包丁を握りしめたまま、ドアを開けていたのだ。

だから、物騒な誤解を受けたらしい。
 
そして、来訪者たる彼は、十郎さんの言っていた、

「センシティブなピアニスト」であり、

奇妙なあだ名を持つ青年だったのだ。


「……もしかして、『ミエロ』さんですか?」

 
私が包丁を置いてから尋ねると、

彼はやっと立ち上がり、首を傾げつつも頷いた。