それから、すぐの事だった。 急にピアノの音が止んだかと思うと、 今度は部屋のインターホンが鳴った。 (お客さん……? 参ったな……) 私はドアのレンズを覗き込んだ。 若い男の人だった。 でも拓海さんじゃない。知らない人だ。 とりあえず、十郎さんが留守だと伝えよう。 私は、ドアを開けた。 「すいません。 あの、十郎さんは今出かけていて……」