星奈は納得しなかった。
だけど、無理にでも納得させた。

「あたしのこと好きだったの?」

「……好きだった」

「どこが好きだった?」

「高いとこダメなのも、寒いのダメなのも、自分を嫌いなとこも、全部好きだった」

「そう…ごめんね、あたしやっぱり『勇人』が思い出せない。だけど、願い事、叶えようねって約束したことは覚えてるよ」

「――それで十分だ」


自然に笑えている自分がいた。
作り笑顔ではなく、本当の笑顔。
それだけで満足だった、幸せだった。