寒いのが嫌いだった。
冬が嫌いな自分が嫌いだった。
そんなわたしを、あなたは好きだと言った。

もう、何年も昔の話。


「星奈(セナ)どうした?」

「えっ、なんでも、ない」

「そ?じゃあ行こっか」

約束なんてなかったかのように、月日はどんどん流れていった。
流れ星のように一瞬ではなくても、確実に、何度も何度も四季を廻っていく。

――春、夏、秋、冬。
その全てにあなたとの思い出があって、季節が変わる時期に、何度も何度も泣いた。
泣きながら目をつぶってあなたを思い出す。
あなたとの写真は、もう残ってない。

春が終われば春の写真。
夏が終われば夏の写真。
秋が終われば秋の写真。
冬が終われば冬の写真。

…捨ててしまった思い出。

あなたとの思い出と共に、二度と同じ過ちを繰り返すことのないように。
だけど、いくら捨てても忘れられないの。
あの頃のわたしたちは無知で、頑固で、そしてなにより幼い子供だった。
成功が正しく、失敗が間違いだと決め付けていたのは、多分怖かったからだと思う。