「・・・あらそう。私の学校には放送室がなくて、放送機材は事務室にあったのよ。」

女は手を上げることもなくニヤリと笑った。

俺も焦点を定めたままニヤリとわらって見せる


「へぇ、なんか不便そうだな。何十年前の学校だよ?」

「失礼ねたった10年前よ。」


女は苛立った。


事務員のおっちゃんはおっちゃんで怯えている。

誰かが助けに来てくれたと思ったら

銃を持って生徒であったのだから。

「・・・何を放送するつもりだ?放送室には行かせねーけどな」

女を睨み直す

「もういいわ。もう放送なんてする必要無いもの」

「は・・・?」

女はフッと笑う

「校内放送すればあなたは丸腰で来ると思ったから。だって全生徒が注目するのよ?事務員さんの命が惜しくなきゃ3年A組の黒眞遼一クン来てください~なんて放送したら。」

「何言ってんだ・・・お前・・・」

最初から俺狙い?

「そしたら全生徒の前で銃なんか出せれないもんねぇ?何持ってるのって話になるわよねぇ?

なのに失敗だわ。

現に私が脅されちゃって。

でもこの状況じゃ撃てないわね。

あなたが発砲した音で皆駆け付けるわよ。」


女はそうベラベラと喋る。

「・・・俺に何の用ですか?」

「大アリよ。私の車に乗って来て欲しいの。」

「校外に出ようってか?いいですよ。そっちの方が良いね。」

「ものわかりが良いじゃないの。」