「さぁ~ちっ」


「ん~・・・・・」


「もうっ、だらしないわねぇ。食べる時ぐらい、シャキッとしなさいよ」




 壮太君に好きって言って以来、何も言ってもらえなかったあたしは、普段からシャキッとしていなかったのに、それに輪をかけてひどくなり、毎日のように奈菜に注意される日々を送っていた。


「もうっ。いい加減、元に戻りなさいよ」


「ん~・・・。でもなんかやる気出ないんすよ~・・・・・」



 それを聞いた奈菜は盛大な溜息をついて、「カラ元気でもいいから出してくれないと困るわ」といいながらコーヒーを口にした。


 あたしはテーブルに顔を乗せたまま奈菜を見る。



「ねぇ、奈菜」


「なぁに?」


「奈菜は、こーゆー時今までどうしてたの?」


「あたし?」


「うん」


 そうねぇ。って、奈菜は口元に手を持って行きう~ん。って、考え始める。
 

「美容院とかネイルサロンに行ったり、思いっきり買い物したりよ。あぁ、あとはお風呂で思いっきり泣くとかね」


「う~ん・・・・・。あたしに出来そうなのは、お風呂っすかねぇ」



 むしろ、それしかないんだけれど。


 でも、奈菜の言葉を聞いて「あぁ」って、思い当たることがいくつかあった。


 急に買い物に行こうと電話がかかって来て、欲しいと思った物は片っ端から購入し、頻繁にネイルが変わったり、とにかくたまに、奈菜にはそういう時がある。


 なるほど。

 今まで深く追求した事無かったけど、あれらは失恋した時だったのか。




「とりあえず、食べ終わったら買い物行きましょう。あたし、欲しい物あるのよ。付き合ってね」



 そう言いにっこり笑った奈菜に「うぃ~」と返事をしたら「もうちょっと気のある返事しなさいよ」と言う言葉と同時に、チョップをかまされた。