「ばっかねぇ、あんた。殴った上に、バカヤローはないでしょ、バカヤローは」



 あたしが図書館から逃げ去ってから10分くらいした頃、奈菜から講義が終わったとの連絡が入り、大学の近くのファミレスで落ち合ってさっきの出来事を話し終わった途端、そう言われた。



「だ、だってですねぇ」


「だってもクソもないわよ」


「こ、言葉が汚いですよ、奈菜さん」


「うっさい。・・・・・でもまぁ、佐智が自分の気持ちに気付けたんだから、平津君と図書館で会えて良かったじゃない」



 よかったじゃない、そう言いながら笑う奈菜は自分の事のように喜んでくれていて、なんだか暖かい気持ちになる。



「う、うん」


「まぁ、問題は、気付いたこれからどーするかよね」



 にやりと笑った奈菜は「平津君に気持ちを伝えてみたら?」そう言いながら紅茶を口にする。


 そんな奈菜の言葉にあたしは「えっ!!?」って、飲んでいたコーヒーを吹きそうになった。