「やあや、美代ちゃんの甘酒さ、うまいべなぁ」

嬉しそうに英作はこっちの庭に入ってきて、湯飲みを受け取っている。

美代があまりに邪気なく微笑んでいるものだから、それ以上文句も言えなくなった善吾郎は、内心腸が煮えたまま呉越同舟の笑みを無理矢理浮かべて、甘酒をあおった。

このとき、英作にバカにされないよう、なんとしても不甲斐ない婿を鍛えねばと苦い甘酒を含みながら善吾郎は心に誓っていたのだが、そんなことは当の陽一は知る由もなかった。