善吾郎は、家の前に薄く五センチほど降り積もった雪を猛然とジョンバで掻いていく。

まるで、一ミリたりとも積雪を許すまじとでもいった念のいれようだ。

実際、このあたりに昔から住む暇をもてあました老人たちは、冬になると急に生き生きする。

腰が痛い、神経痛がどうのとぼやきながらもせっせと家の周りの雪を排除することに余念がない。

本当に具合が悪ければ人が通れるだけの道をつけるなり、除雪ボランティアに頼むなりするのだろうが、きっと除雪は彼らの趣味で、家の前が社交の場でもあるのだ。