桜咲くこの並木道で

そのときだった。


「おはよ」



そう聞こえたような気がして、

あたしは思い切り右へ振り向いた。



思わず目を疑った。




あの人がベンチに座っているのだ。



その人はあたしを見て微笑むと、

ゆっくり立ち上がって歩き出した。



あたしのほうへ。


呆然と立ち尽くすあたしの前までくると、

その人は止まった。



あたしより、

二十センチほど背が高かった。



あたしはその人から目が離せなかった。


全身は、火がついたように熱くなった。



顔も。