「またまたー、そんな嘘付くなって!」


男子たちは何やらニヤニヤと不適な笑みをさせ、坂本くんに言い詰める。
この男子たちは何か坂本くんに関する恋愛情報を知っているのだろうか。だとしたら、教えてもらいたい。


「嘘じゃねーって!」


必死に嘘を付き、皆に知られぬ様としている坂本くんが、悪いと思ったが何だか可愛く思えたので少しながら胸をドキドキさせ見ていようかと思った。


「俺知ってるんだから。昨日、3組の桐島と一緒に帰ってただろ?わざわざ裏門から帰るなんて、隠れたつもりかー?丸見えだったぞ。」


え・・・?
今、私の耳に何か凄く嫌な事が聞こえた気がする。いや、本当にそれが気がするだけならいいのだけど。


「な!あ、あれは、あれだ!うん、まぁ・・・。」


私の目に映ったのは頬をほんのりと赤く染め、照れ隠しなのか顔を下に向けている坂本くん。

なんだ。
そうだったんだ。
少しでも期待していた私って相当の勘違い女だ。

その時、君に好かれ様としている自分に笑いが出た。
叶うはずのない恋だと知った途端に口から零れる小さな小さなか細い笑い。


end