甘い甘い恋に夢を抱いていた。
それは恋愛ドラマの様に甘く上手くいく恋。
何が何でも私を1番に愛してくれる男の子。
そんな男の子が私の理想であって私の絶対。

だけど現実はそう上手くいく訳ではない-


「もう!バカッ!アホッ!大野ってば本当にムカつく!」

「バカで結構。アホなのは知ってますー。お前も十分ムカつくけどな。」


・・・現実なんてこんなものだ。
たまたま席が隣になった大野とは毎日こんな調子で過ごしている。
キッカケなんてものは忘れたがこれが日常茶番だ。

そんな訳だから私が夢見ている王子様的存在な人には出会えるはずもない。というよりいつもいつも大野と口喧嘩をしているので周りの男の子は私に話し掛けさえしないのだ。


「もう知らない!」


口喧嘩の最終的結末は私のこの一言で終わる。
結局、私が呆れて言葉も出て来なくなるほど大野とは激しくやり合うのだ。

そんなこんなで放課後になると大野が“ちょっと来い”だなんて言って私を教室へと呼びだした。
これは今日だけではなく毎日の事だ。


「何?また私の机が1ミリ大野の席の方に寄ってるだとか言いたい訳?」

「違うわ、ボケ。」

「だって昨日はそうだったじゃん!」

「それは昨日だろ?今日は違う。」

「じゃあ何よ?」


いつもの喧嘩腰の口調で問いかける私に大野は私をギロリと睨んできた。
そっちから呼んだくせにそんな怖い顔しないでよね・・・。


「だから、好きなんだよ。」

「何が?」

「・・・お前が好きなんだって!バカヤロー。」


ちょっと待って。
これは本気?ううん、違うよね。
私の反応が見たいからって嘘ついてるんだよね?

だったら私だって-


「私も大野が好きなんだよ、バカヤロー。」