「・・・えーと、そのさ。」


僕は目の前にいる彼女を直視出来るわけもなく。ただ目を泳がせていた。


「誕生日おめでとう。それでプレゼントは・・・。」
結局何も買えなかったなんて、彼女に言えるわけがない。


「ありがとう。プレゼントは・・・?どうしたの?」


言葉を詰まらせている僕に彼女は不思議そうに尋ねた。
そして僕は決意を決めて彼女の肩を引き寄せる。


「プレゼントはこれで。」


言葉の終わりと共に優しい感触が僕の唇に。
5秒くらい重ねた唇を引き離し彼女を見つめた。


「こ、これって・・・。」


彼女は手で口を押さえながら顔や耳を真っ赤にしている。


「プレゼントは物じゃないけど、僕のファーストキスを・・・。」


照れくさそうに呟く僕に彼女はとびきりの笑顔を見せた。
またその笑顔が本当に可愛らしくて僕が“とっておき”をもらった様な気になった。


「ありがとう。・・・実は私もファーストキスなんだ。とっておきの“初めて”を私にくれて本当にありがとう。これからも、たくさん“初めて”をとっておきのプレゼントとしてちょうだいね?」


彼女が言い終えた後。僕の体温が上昇したのは言うまでもない。


end