「好きになった。だから俺と付き合って。」

「え、私・・・?どっ、どうして?」

「勝手に好きになったんだよ、悪いか。付き合ってくれんの?」


告白して来たのは君だった。
それはあまりにも突然の告白。

君は学校でも不良に入るグループだったから当然気弱な私は断れるわけがなかった。


「は、はい・・・!」


この私の返事で君との恋人生活が始まったんだ。


“好き”
その言葉は告白以来、君の口から聞いた事がない。
一緒に帰る時も、たまに学校で会って挨拶する時も、話し掛けたりする時も、君は上の空。

本当にあの告白は何だったんだろう。
そう思ってもおかしくない、私と君の曖昧な関係。

私の事を本当に好きなの?
・・・そう考え悩む毎日。

目が合ったらドキドキするのも、廊下ですれ違うと嬉しくなるのも、一緒にいるだけで幸せになるのも、私だけなんだ。

今日も、たいしていつもと変わりがない。
そう思っていたけど変わったものは確かにあった。


「ねぇ、別れよ。」

「・・・え?」


それは告白の時と同じ様にあまりにも突然だった。


「ど、うして・・・?何かしたかな・・・?」

「好きになるのも俺の勝手だし嫌いになるのも俺の勝手。ただそれだけの事。」


冷めた目と冷めた口調で冷たい言葉を残し君は私の前から姿を消した。
気がつけば私の目からは溢れるばかりの大きな涙の粒が流れている。


君は本当に勝手で、ひどい男。


end