「拓也、待ってよー!」


前を歩くオレに向かって後ろから聞こえる茜の声。


「待ってって茜が遅いの。」

「拓也が歩くの早いの!」


空を見ると曇っていたから雨が降るかオレは心配なんだ。
あいにくオレは傘を持ってないしな。

茜の言葉を無視してオレはスピードを落とさずに歩く。


「もう拓也と帰らないよ!」


茜の悲しそうな叫び声が耳に飛び込む。


「・・・それは困るんだけど。」


そうオレは小さく呟いた。
いくら何でもそんな事を言われると、さすがのオレも悲しかった。

まぁ、オレが悪いんだけどな。
だから振り返ってキスをした。

触れるだけの甘いキスは、オレのありったけの茜への愛がこもってたんだ。


「た、拓也!人前で・・・!」


恥ずかしそうに顔を染める茜を見ると本当に可愛く見えて男としては、もう1回したかったけどそれは止めておこう。


end