「じゃあね、竹山さん。今日は誘ってくれてありがとう。楽しかったよ。」

「う、うん!じゃあね!」


って、それでいいの?
今日、憧れの中谷くんを誘ったのは告白をするためだったのに。
そのために頑張って誘ったんだよ?

告白しなきゃ、誘った意味がない!
街中の人ごみの中、中谷くんの姿はあたしの視界から消えようとしている。

頑張れ、自分。追いかけて中谷くんに告白するんだ。
中谷くんの姿を確認しながら人ごみの中を走って追いかける。


「中谷くん!」


ようやく見つけた中谷くんの服の袖を掴み精一杯の想いを告げる。


「あのね、あたし中谷くんが・・・好き、なの!」


やっと言えた想いに自分でも頑張ったと思った。
そして勢い余って、中谷くんの唇に自分の唇をくっ付けた。

後は中谷くんの返事を待つだけ。その時のあたしのドキドキはピークに達していた。


「え?は?何すんの?!俺、中谷じゃなくて大谷だけど。・・・つーか誰?」

「え、大谷?・・・誰ですか?」

「いやいや、それは俺の台詞だから。いきなり告白して来て、キスって・・・。」


中谷くんじゃ、ない?


「あ、本当・・・だ。」


良く見ると中谷くんじゃなくて、中谷くんより背が高く良く似ている人だった。
って事は全く知らない人に告白してキスしちゃったって事・・・?


「あの!ごめんなさい、人違いで・・・。本当に申し訳ないです!」

「人違い?ちゃんと説明して貰おうやないか。!今から時間あるか?」

「え。はっ、はい。」