あえて言うなら彼はカッコ良い系ではなく、断然可愛い系だ。

女の子に思える童顔に、大きな目と、クラスで1番背が低いというのだから可愛いとしか言い様がない。
だけど、そんな彼に私は淡い恋心を抱いている。


「あ、コレお前の?」

「えっ。ありがと!」


偶然にも彼とは席が隣同士なのだ。
こうやって消しゴムやシャーペンなどを、うっかり落としてしまうと拾ってくれる。


「ったく。いっつも落としてんじゃねーぞ。拾う俺の身にもなってみろ!」


・・・可愛い女の子みたいな顔をしているのに口の悪さだけは男の子だ。


「お前って、おっちょこちょいだよなー。」


そう言って笑う顔が何よりも可愛いのだから、やっぱり可愛いとしか言い様がない。
そんな彼が輝いて見えるのも私がコイツに恋をしているからだろうな。


・・・―


「ちょっと、どうしたの?そんな怒った顔して・・・。」


今日の彼はいつになく不機嫌そうな顔をしていた。
笑顔が可愛らしくて、笑顔が1番なのに・・・。


「うっせー!俺はなぁイライラしてんだよ!」

「何かあったの?」

「おう。昨日、東山高校とのサッカーの試合で負けたんだよ。」


そうだ、彼は背が小さいくせにサッカー部に入っているのだ。
サッカーが本当に大好きで、放課後なんかよく練習をしている所を見た事がある。
小柄なくせに動きは人一倍、速くて・・・。


「そんな顔してたら、ダメだよ。」

「あぁ?何だよ。俺の顔が気にいらねぇってか?」

「そうじゃない。アンタには笑顔が1番なんだよ。」


中身は男でも彼の笑顔は女みたく可愛らしい。
そんな彼の笑顔が私は大好きなんだ。

彼には笑顔が、いちばん。


end