ポカポカと太陽が当たる病院の外のベンチ。
そして隣には一緒にベンチに腰を掛けている愛しいアキラ。


「アキラ・・・眠たくなるねえ。」


こんなに暖かい日差しが当たると眠気が襲ってくるはずだ。


「そうだね。でも僕がココで寝たら、もう起きないかもしれないね・・・。」


ハハッと微笑するアキラに私の顔は青ざめる。

そんな事・・・言わないでよ。
例え冗談だとしてもキツイよ。


「アキラ、縁起でもない事を言わないでよ!大丈夫だって!」


アキラには重い心臓の病気がある。
だけどアキラの外見からは病気なんて考えられない程、元気だ。

そんなアキラに余命が後、ほんのわずかだと報告されたのは、一ヵ月前の事。

しかしアキラは取り乱す事なく、落ち着いている。
それがアキラなんだろう。


「人には、いつか必ず終わりが来るよ。だけど僕には終わりがないと思ってるよ。」


その矛盾された言葉に私には意味が良く理解できなかった。
それに、いきなり何でこんな事・・・。


「僕は、死ぬんじゃないよ。永遠の旅に出るだけだ・・・。」


その言葉を残してアキラは翌日、アキラが言った“永遠の旅”に出て行ってしまった。
アキラは自分が、もうすぐ永遠の旅に出ないといけない事を悟っていたのかもしれない。

お医者さんも驚いていた。
何の前触れもなかったのだから。

私は泣いた。
これでもか、と思うくらい泣いた。
だけど涙は枯れなかった。

でもアキラは死んだんじゃない。
永遠の旅に出ただけ・・・―

そう思うと少しだけ気が軽くなった様に感じた。

いつか私も永遠の旅に出る日がやって来るんだ。
その時はアキラと共に永遠の旅をして行こう。


end