背はやや高め。髪は真っ黒。
スポーツはまるっきりできない。
得意な事を挙げるなら勉強だ。

という様に僕はどこからどう見ても地味な男だと思う。
ほら、よく漫画とかで出てくる存在が空気みたいな人?まぁ、そんな感じだ。


「岡野くん、おはよう!」

「あ、木下さん。おはよ。」


この子はつい最近の席替えで隣になった木下さん。
僕とは正反対の子だ。

背は僕より少し低め。髪は染めたであろう、薄い茶色。
得意な事を挙げるならスポーツと周りの皆を楽しませる事だろうか。
何とも輝かしい笑顔をしていて、クラスの人気者。

長所がたくさんあり、短所は1つも見当たらない。
僕なんか短所がたくさんあり、長所が1つも見当たらないのに。

僕を曇り空と例えるのなら、木下さんは晴天の空だ。
こんな風に僕と木下さんは正反対の人間なのだ。


「あー、わかんない!ねぇ岡野くん、ここの問題の解き方教えて?」

「え、うん、良いよ。ここの問題なら難しく考えずに、ここをここに代入して・・・。」


数学の授業時間。
木下さんがわからないと言う問題を僕は声を潜めて解き方を教えた。


「あ、ホントだ解ける!ありがとう、岡野くん!」

「ううん。どういたしまして。また解らなかったら僕で良かったら教えるよ?」

「本当?ありがと!すっごく助かるよ!」


まるで太陽の様に笑う子だ。

スポーツはできない。
見た目はカッコイイと言えない。
性格も暗めでとても騒ぐタイプではない。

だけど、そんな僕にも1つ自慢できる事があってね。
それは・・・こんな僕でも恋をしているという事だ。


end