『もう、本当に南ってば可愛すぎ!』

『南は童顔だからねー。これでも高2?』

『下手すれば中学生に見えるじゃん?本当に女の子みたい!』


俺が可愛い?
俺が童顔?
俺が女の子みたい?

ふざけるのもいい加減にしろよ、見た目しか見ていないカス共が。


「うるさい!俺は男だって言ってんだろ?!」


俺、笹原 南は自分で言うのも何だけど女みたいな男だ。

決して顔が女という訳ではない。
幼い顔、そして高校2年生にして155センチの身長。
世の皆は俺を“可愛い男”と呼ぶ。

当然、俺としては嬉しくなんかない。
むしろ腹が立って仕方がないくらいだ。
そして今度は、違う方から黄色い声が聞こえる。


『キャー!カッコ良い、美咲!』

『美咲ってば、男みたいだもんね!』

『美咲がホントの男だったら絶対彼女になる!』


「うるせー!あたしは女だってば!」


あの人は男みたいな女だ。
顔が男みたいなのではなく、雰囲気だと思う。

俺とは違う170センチもある身長に肩につくかつかないぐらいのショートな髪。
そして少し乱暴な言葉遣いと男みたいなカッコ良さがあの人にはある。


俺のコンプレックスは見ての通りこの“可愛い”
あの人のコンプレックスは俺と反対の“カッコイイ”

あの人のコンプレックスは、俺の理想だ。


end