大雅は唐突に私を抱き寄せて、強引にキスする。

「都さんを抱けるなら、今すぐ結婚式しても構わないんですけどね」

優しい声が、真剣な色に染まって耳元に落とされる。

「お酒は二十歳になってから。
結婚は十六歳になってから」

唱えすぎて耳にタコが出来た言葉を、しつこく繰り返す。

「だからこうやって我慢してるじゃないですか」

耳元に、甘く囁いた後、そのまま息を吹きかけてきた。

……カラダの力が抜けていく。

「……たい、が?」

ここぞとばかりに、彼は私を抱き上げた。
強引にベッドに連れて行かれる。

「ちょぉっとっ」

「ほら、何事も予行演習が必要って言うじゃないですか?」

言いませんーっ。

私の言葉は、強引なキスに封じ込まれる。

本当に結婚式まで待ってくるつもりがあるのかどうか。
日に日に、その行為はエスカレートしていく。

今日も、きっと。私が泣きだすまで辞めてくれないんだわ。

……何が怖いって。

段々それが嫌じゃなくなっている、自分自身に、私は密かに驚いていた。

新婚旅行、無事にいけるといいんだけど――。

宝物に触れるような優しい手つきで大雅に頬を撫でられて、私はゆっくりと瞳を閉じた。

Fin.