唇を、深く深く貪れば、徐々に彼女の吐息は官能的な乱れを帯びてくる。
一瞬のうちに、「術」を使って彼女を閨に連れ込むことなど、造作もないことだった。

抱き寄せたまま、寝床の上に座り、彼女の頬や頭を幾度も撫でる。

「では、二人で鬼の居ないところにでも行く?」

「……何処に?」

「京の都の人が知らないくらいの、遠い遠いところに」

「そんな偏狭の地には、もっと鬼が居るんじゃない?」

「どうかな?
 人が少なければ、邪念も少ない。
 鬼は居ないかもしれないよ」

話しながらゆっくりと、彼女の着物を解いていく。
寝床の上に押し倒しながら。

毬は恥ずかしがってはいるだが、嫌がる様子はない。

(次ページへ)