君におぼれた哀れな男で5のお題

3.胸を焦がす熱い炎は消えることなく、いつか君をも飲み込んでしまうかもしれない。


妖怪を調伏するのは、いつものことで。
ほとんど、龍星にとっては日常業務としか思っていない。

この日も、さるお方からの依頼を受けて、屋敷に住み着いていた鬼を退治して帰ってきた。

「龍っ」

玄関先で、彼を待っていたのはもちろん毬。

「どうした?」

心配を貼り付けたような顔で見られた龍星は、却って自分の心に心配を募らせずにはいられない。

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