ふう、と安堵の息を吐き、座り込みそうになる毬を龍星はそっと抱き寄せた。

「もう、大丈夫」

「どうして、こんなことになったの?」

「毬が勝手に俺の傍から離れるからだよ。
 ずっと、傍に居れば安心だから」

龍星は催眠術にでもかけるように、そっと耳元に囁いた。

このままずっと、腕の中に閉じ込めておきたくて。
他の誰にもとられたくなくて。

こんなに独占欲の強い男だったかなと、自分で苦笑してしまうほどだ。

「安心?」

と、顔をあげて首を傾げる毬の唇を、龍星はそっと啄ばんだ。


Fin.