一度の試着だけでぐったりした私は、そこを出ることにした。

もちろん、式場のお姉さんは具体的な日取りを決めようと必死になっている。
……けれども。

キョウはにこやかにそれをさえぎる。

「彼女の両親と相談してから、改めて連絡させて頂きます」

「お待ちしていますっ」

私は、お姉さんの笑顔を見ながら心の中だけでそっとため息をつく。

……いくら今日がエイプリールフールだからって、これ全部嘘なんですって伝えたら、きっと彼女は怒るだろうなぁ、なんて思いながら。


Fin.