「ユリア。
 そんなに熱烈に見つめられたら、着たばかりの浴衣を脱がなきゃいけなくなるんだけど。
 ……いや、別に着たままでも……」

ゆっくりと、唇が近づいてくる。

「えっと。
 ほら、花火大会終わっちゃうよ?」

慌てて口を開く。

キョウはくすりと笑って、私の髪をくしゃりと撫でた。

「じゃ、行こうか、ユリア」


その日、大空に咲く大輪を眺めに来たはずの人々の視線の大半を、彼がかっさらって行ったお話は、あえてすることもない、わよね?


Fin.