長い指が顎にかかり、強制的に上を向かされる。

長い睫毛、筋の通った鼻梁。
それを目にするだけで、心臓がきゅんと戦慄く。

私の頬が朱に染まっていくのを確認した後に、わざと突き放すかのように言う。

「何欲情してるの?
 それとも服の上から、浴衣、着せて欲しい?」

……意地悪っ。

とはいえ。
日本暮らしなんて短いはずなのに、キョウは慣れた手つきで私に着物を着せてくれた。

「ユリアは本当、何を着ても可愛いよね」

笑いながらそんなこと言ってますけど。
……どうせ、からかってるだけなんでしょう?

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