頭を抱えそうになる私に、キョウが極上の笑顔をくれる。

そうして。
艶やかな声で囁いた。

「じゃあ、脱いでくれるだけでいいよ、ユリア」

……っ

真っ赤になって顔をあげた私を見つめるのは、艶やかな黒曜石を思わせる瞳。

「いつまでたっても、うぶなフリが得意なんだから」

なんですって?

頭の中で、カチンという音が鳴る。
私はキョウの腕の中から抜け出した。

……つもりが、すぐに捕まる。

「訂正してあげようか?
 可愛い子羊さん」

反論しようと思った唇を、彼は再び塞ぐ。

それは、熱い時間のスタートを告げる、甘く、熱い、とろけるような唇づけだった。


Fin.