「だから、着替えてくれない?」

簡単に、何を強要してるのかしら。
ああ、どうしよう。
魔界にはきっと四季なんてないんだわ。
それに、温度を感じない彼に衣替えのことを上手く伝える自信なんてないんですけど、私。

「えっと。クリーニングに出してるから無理だし。
 それに、あったとしても着替えないわよっ」

私はあたふたしながら、そう言った。

「そう。
 ユリアはこっちの制服の方がお気に入りなんだ」

「だからね?
 衣替えと、お気に入りかそうじゃないかは関係ないのっ」

……無理だ。
  全く持って、この状況を彼に説明する自信がない。

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