「今日はこれでいいや」

散々もったいぶった後、ようやく解放してくれた。


軽くなった髪で、一緒に街を歩く。

「今度は負けないんだから」

「え? まだ、テトリスやる気?
 俺が勝ったら、鼻にピアスあけてもらおうっと」

「……それはイヤ」

就職活動させないつもりか、お前はっ。

「じゃあ、もう勝負するのやーめたっ」

「勝ち逃げってズルくない?」

「勝負事はなんでも一度きりって決まってんの」

あーもー、腹立つっ。

無意識に頭をかき回す。
手に触れる髪は、なれたそれよりずっとずっと短くて。


なんだかとても、不思議な気がした。


Fin.