「今日、夕方何時に時間空く?」

「次のコマまでしかとってないから、3時にはフリー」

「俺もだ。
 ね、このお礼に何かプレゼントさせてよ」

……ヒコ?

彼は食べ終えたサンドウィッチとジュースのゴミを私の分までまとめて手に持ってくれた。

「じゃ、後でね」

……それは。
正志と私を引き裂いたお詫びのつもり、なんだろうか。


そうよね、間違いなく。
いつの間にか、全てを言葉にしなくても分かり合える関係になっていることに気づき、苦笑を漏らす。

「じゃ、楽しみに待ってるわ」

ひらひらと手を振って、短い昼休みに別れを告げた。

「ああ、楽しみにしてな」

ゴメンね、という言葉をそんな形に変えるヒコ。
そして、ふいに手を伸ばし、くしゃりと私の髪を撫で、踵を返して歩いていった。


Fin.