苺祭的遊戯(ショートストーリー集)

そして、バッグの中から綺麗に包装された小さな包みを取り出した。
誕生日プレゼント用にラッピングされた、綺麗な箱。

高級だと分かるような、素敵なラッピングだ。

ヒコは僅かに息を呑む。

知らないなんていわせないわ。
もうすぐ、正志の誕生日だったのに。

……あなたが、「合コン」話を持ち出して、私たちを引き裂いたんだから。

手のひらから、箱が消える。
ヒコはそれを手を伸ばして受け取ってくれた。

「ありがとう、アヤ。
 丁度ネクタイピンほしかったんだよね」

その台詞が、心からそう思っていたように聞こえるから怖ろしい。
視線を戻せば、柔らかい声と、甘い笑顔が、手を伸ばせば触れるところにあった。

本当、顔だけはいいんだから、コイツってば。

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