嫌だ。
本当に、こんなバカ相手にしていると、バカが移る。

なぁんでこんなのがモテるのかしら。

さくっと立ち上がったヒコについていくほかない自分が酷く惨めな気がして。

私はため息を飲み込んだ。

熱い砂浜を、一歩分の距離を開けて歩く。

「……ほぉんと、彩先輩って伸彦先輩見つけるプロですねぇ」

と、誰かが耕介に言っているのが聞こえてくる。

「じゃあ、お金頂戴♪」

私は二人の肩に手を回す。

「えー、私は伸彦先輩がほしいですっ」

一年生って無邪気でいいわー。

「私のものだったら熨斗つけてあげるんだけど。晴菜ちゃんのモノですから☆」

「彩。さぼってないで、手伝って」

ヒコの声。

「さぼってたのはあんたでしょうっ」

イラっとしながら、ヒコのほうへと手伝いに向かう。

「ほぉんとうにあの二人付き合ってないんですかー?」

背中で聞こえてくる無邪気な声は、無かったことに、した。

Fin.