私は、いつものベッドとは違う、シーツの感触に昨夜のことを思い出しつつあった。

――そっか。

私、魔界に来てたんだった。

「シャワーを浴びて、着替えてくるといい」

キョウが言う。

……あれ?

でも、ここ、魔界なのにそんなシンプルなスーツって、おかしくない?

「今日の予定、なんだったっけ?」

どんなに頭をめぐらせても思い出せない。
キョウは、忘れちゃったの? みたいな。
責める眼差しで私を見るので、なんとなく後ろめたい気持ちになって、仕方なく私は部屋に備え付けのシャワーを浴びる。

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