「その分、今からお兄ちゃんとテニスでもして遊ぶ?
 でないと、清水にカロリーオーバーだって怒られるよ」

「いいよ、じゃあそうする。
 そうするから、ねぇ、清水。怒らないで?」

彼女が清水を見つめる視線に、熱が篭っていることに、気づかないわけじゃない。
清水はふわりと笑う。

「じゃあ、今日だけ。
 特別ですよ」

そうして、清水も最初から心得ていたのだろう。
すぐに俺の珈琲を持ってきてくれる。

君が誰を好きだって。
君が何を好きだって。

笑っていてくれるなら、それでいい、なんて。

ひたすら甘やかせたくなるのも、きっと。

惚れた弱み、なのだろう。


Fin.