「そうですかね?」

清水はすっとぼけてそう答え、こみあげてきそうになる動揺をウィスキーで流し込む。

七夕にしか、逢わないと言うわけではない。
けれども。

必ず七夕には逢うようになっているのは――。

大雅か紫馬。
どちらかの陰謀に他ならない。

年に一回しか逢えないのでも、
年に一回しか逢わないのでもなく。

毎年一度決まった日、必ず二人が逢うように仕組んでいる誰かがいるのだ。


それにどういうメッセージが込められているのか。
これは、都に対して長い間言葉にならない気持ちを抱える清水への。

――同情なのか、警告なのか。


……そんなことには気づかなかったことにしようと、清水は決め込んで。


「最近、どうですか?」

などと、他愛ない話を始めることにした。


Fin.