「羽野。」

病院帰り、翡翠先生に声を掛けられた。

「…中住…彼氏…だったんだよな?」

「はい。…一応…けど!!!」

「…けど?」

ウチは、翡翠先生のまえに立った。

「中住弘人は、自分の永遠の彼氏です。いつまでも。」

そのとき、ウチの頬に1粒の涙が伝った。

この涙が流れるのは、ヒロのおかげ。

ヒロのおかげで、ウチは想うことの大切さを知ったよ。

ありがとう、ヒロ――――

天国行っても、ウチの事忘れないでね…。



カナカナカナカナ…

ヒロの死を語るかのように、ヒグラシが鳴いた。