「じゃあ、俺はこれで」
ガラスの扉を開けた時

「待ってウェザー、いや…」

俺はもう一度振り返った。
それと同じように、今まで雲で陰っていたのか、急に月明かりが強くなった。

「朱雲 天気…」


月明かりでようやく、その女性が誰か分かった。
「楓…」


「黙っててごめんね、最初、あんたがベランダに倒れてるの見つけた時は、ウェザー様が倒れてると思った。けど…」


俺は目の周りを隠しているのを指し

「こいつを取ったのか」

楓は黙って頷いた。

「そしたら、天気だったから、最初はどうしようと思った
このままほっといていようと思った…でも、だめだった」

「どうして…」

「だって、大切な人をほっとけないよ」

楓の目には、涙がこぼれ落ちんばかりに溜まっていた。